フィールド・ミュージアムって何?

大地と暮らしの野外博物館「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム」は、兵庫県の篠山市と丹波市に広がる「篠山層群」と呼ばれる地層及びその周辺一帯が舞台です。

 

■世界的にも希少な地域

およそ1億1千万年前とされる篠山層群からは、恐竜をはじめとする、世界的に貴重な化石が産出しています。一方でその露頭は、篠山城石垣や農業用井堰など、暮らしの中で利用され、一帯には豊かな農村風景が広がっています。
世界の化石産地の多くは、人里離れた荒野の中にあります。それを思うと、篠山層群のように、科学と生活・文化が共存する地域は、世界的にも希少なのです。
 

■さまざまな時間を体験するミュージアム経験

日々の生活に追われていると気づきませんが、現代を生きる私たちは、さまざまな時間感覚でとらえられる偶然の結果、今・ここにいるにすぎません。

 

さまざまな時間

地層から広がる地学的探究は、46億年という地球の時間に至る思索をもたらします。恐竜化石のような古生物の世界は、数百万年から数億年単位です。
一方で、露頭のある川代渓谷を形づくった「河川争奪(※)」などのストーリーは、数万年から数百万年の時間単位です。そして、その上で暮らしてきた人類の数百年から数万年という歴史。そこに立つ「あなた」という一人の人生の時間。
丹波地域恐竜化石フィールドミュージアムは、こうした多様な時間感覚を養い、地球や生命、社会を考える力を身につけていただく場でありたいと願っています。

 

■市民参画で未来の人材を育てるミュージアム

丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム構想を企画し推進するのは、民間の団体や有志らで構成する推進プロジェクトです(兵庫県丹波県民局、篠山市、丹波市、兵庫県立人と自然の博物館、(公財)兵庫丹波の森協会が活動を支援しています)。
多様な時間間隔を磨いていただくため、私たちは、エリア内に立地する各施設における展示やイベント、あるいはそれぞれの見どころでの景色や体験を通して、感動と学びを得ていただけるよう、工夫を凝らしました。
私たちの取り組みが、一人ひとりの人生を豊かにし、これからの地球環境を支え、未来の世界を築く人材を育てることにつながるなら、これに勝る喜びはありません。
どうぞ、科学と生活・文化が共存する「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム」を、ゆっくりとお楽しみください。

 

フィールドミュージアム構想推進プロジェクト メンバー一同

 

※丹波地域には、本州で一番低い分水界があり、ここを流れる川は、あるときは日本海側に、あるときは瀬戸内海側に流れるなど、変化してきました。そのことを称して「河川争奪」と言われます。