変動する大地

変動する大地

「ずっと気になってるんだけど、ここの地層って、平らじゃないよね。昔の地面が傾いていたってこと?」
「まさか。ぼくたちは平らな地面の上にいたよ。地層になったあと、傾いたんだよ」
「え、地震か何か?」

動く大地

「うん、それのもっと大きなものっていうか。例えは悪いけど、きみたちの時代に自動車ってあるんだよね。あれを壁にぶつける実験写真、見たことある?」
「運転席の前の平らなボンネットがへの字型に潰れてた」
動く大地「そんな感じで、大陸同士がぶつかって傾くんだよ」
「え、大陸の交通事故? 気をつけなきゃ」
「いやまぁ、大陸は運転できないからね」
「怖いなあ」

長い長い時間

「まあでも、これだけ傾いたり、もっと大規模だと山を作るような大陸の移動は、何千万年、何億年の単位だよ」
「こうして見ている風景も、長い目で見れば変化していくんだね」
「きみたち人間はそんな大きな風景の変化を、機械で山を削ったり、ごく短い間で作ってるけどね」
「ごめんなさい」
「いいんだ。少しでもそのことを考えてくれたら」
「この風景、いつまで続くの?」
「わからない。ともあれ、今日の同窓会はお開きだ。今度はまた1億年後に会おう」
「私たち、いるかな」
「さぁ。きみたち人類の歴史なんて、せいぜい数百万年だろ。1億年後にどうなっているかなんて、わかるもんか」

田中教授ミニセミナー